補助抗癌剤治療の考え方
【 ID-231 】
|
ID |
ID-231 |
性別 |
女性 |
年齢 |
39歳 |
病 名 |
胃癌 |
進行度 |
進行度不明 |
|
|
手術歴 |
2002年03月 |
胃・胆嚢・脾臓の全摘出。左副腎の摘出。 |
放射線 治療歴 |
- |
- |
抗癌剤 治療歴 |
2001年12月〜2002年02月 |
TS-1+シスプラチン |
|
|
現在、最も辛い症状 |
特になし |
相談その1 |
昨年12月に癌発覚(本人にも宣告)、即手術予定であったが大動脈横のリンパ節が3cm程に腫れているため抗癌剤を使用(TS1+シスプラチン)し縮小する事にした。 2クール<1クール2週間投薬し2週間休みの4週間。第1・8日目の2回点滴(シスプラチン)。毎日朝夕2回カプセル2錠(TS1と言われるがTC422と記載>を終了。 その後検査した結果、胃の塊が1/3に縮小、リンパ節は若干の縮小、副作用が無い事から1クール追加した。 計3クール終了した時点で2クール目とあまり変化が見られずこれ以上待てない事から手術。胃・胆嚢・脾臓を全摘と左副腎を切除した。 検査の結果、リンパ節(目に見えるリンパ節全て摘出した中から48個の転移が見られた)・他臓器(所見)・腹水の転移は見られなかった。 リンパ節の転移から再発の可能性が高い事、前回2クール目から3クール目にあまり変化がない、との理由によりタキソールを毎週1回行い副作用なければ半年続けることとなった。 また、タキソール+シスプラチンの併用も考えているとのこと。 さて、ID17ではCPT−11が第2選択とありましたがCPT−11の方がいいのでしょうか? |
相談その2 |
現在、検査では臓器への癌転移は見られませんが今後の化学療法で効果があるか(患者にとって有益か)は分からないと思いますが、 何を持って投薬を終了するのでしょうか? また抗癌剤の選定は一般的に何を基準に行うでしょうか? 強い副作用が出れば変えて投薬を続けるのでしょうか? 再発してから効き目が無かったとなっても遅いのではないでしょうか? お忙しいところ恐縮ですが、ご回答是非ともお願い致します。 |
|
|
平岩 正樹 先生の回答 |
補助抗癌剤治療は、標的のない治療です。ID-98に書いたような「評価」もできません。一般的に有効な抗癌剤を、ある量で、一定期間行ないます。 1)私ならばイリノテカンを使いますが、タキソールでも誤りではないと思います。「大きな差はない」が厳密な言い方でしょう。補助抗癌剤治療で使う薬は、再発胃癌、手術不能胃癌に使う薬と同じ薬の中から選択します。 2)効いているのか効いていないのか、目に見えない癌を想定して治療しています。この場合の抗癌剤の治療は、「本人が容認できる量」という範囲で、めいっぱいの量を使っていきます。もちろん、本人が容認できない副作用が出た時点で即刻、@薬量を変更するA薬種を変更する、ことになります。 3)短くて半年〜1年という期間が、補助抗癌剤治療として妥当な期間だと思います。このことに強い科学的根拠はありません。もちろんこの間、不幸にして再発が明らかになれば、戦略は大きく変わり、通常の抗癌剤治療に変更します。 4)補助抗癌剤治療の負の側面として、結果的に無駄な治療をしているという可能性があります。正の側面は、目に見えないような小さな癌では、抗癌剤も非常に効きやすいという利点があります。 その根拠は、一般的に補助抗癌剤治療をした患者群としない患者群では、治癒率が変わるからです。上昇分は、目に見えない癌が補助抗癌剤治療で治癒できたと判断できる癌です。 補助抗癌剤治療をしても再発する場合は、負の側面、つまり無駄な抗癌剤治療をしていたということになります。人生が一度しかないということから、この賭けをするのかしないのかは、患者が医者からの情報を元に判断することになります。 一般的には、進行癌では、手術後にしっかりとした補助抗癌剤治療を受けたほうが有利です。とくに相談の場合は、かなり進んだ胃癌でしたので、あまり、受けるか受けないかで悩む点は少ないかと思います。 |
|
|
|
その他の補助抗癌剤治療の考え方に関する回答は、下記ID番号をクリックしてください。
↑PageTop