進行卵管癌の手術後に、補助抗癌剤治療として、薬1年間のタキソール+パラプラチンを受けておられます。 主治医の考えるUFTは、補助抗癌剤治療の第二段です。 御質問の前提は @補助抗癌剤治療の意義 A補助抗癌剤治療として妥当なものは何か の二点です。 @については、ID−1770、1274、1035、807、231、172、94、23等に対する私の回答を参考にしてください。またこのサイト内の『読む抗癌剤 拡張版』の第49話が参考になるかもしれません。 Aとして、まずUFTが妥当かどうかですが、科学的根拠はないと思います。今年のASCO(米国臨床癌学会)で初めて、StageTbの肺癌に対してUFTの補助抗癌剤治療の有効性が大規模試験で立証されましたが、他の癌については、ほとんどデータがありません。 ただし、1年間本格的な補助療法を行い、次は弱い薬に切り替える、という主治医の考え方は、充分に理解できます。 補助抗癌剤治療の損得勘定は難しく、主治医の「ほとんど副作用はない薬」という利点も、他の放射線科医の「5FUは内臓がぼろぼろになるし、発ガン性もある。肝臓を悪くして亡くなったり、この薬のために癌になって亡くなる人もいるので、私なら5FUは服用しません。すぐに止めなさい」という欠点も、両面を考えなければなりません。ただ、後者は明らかに誇張で「内臓がぼろぼろ」などはとても科学的な言葉とは思えません。「この薬のために癌になって亡くなる人」も稀な例です。逆に副作用死の絶対にない薬が、どのくらい世にあるかを考えると、明らかな誇張です。通常の風邪薬や鎮痛解熱剤でさえ、たとえば、致命的なスティーブンジョンソン症候群を起こすことが稀にあるからです。 まだUFT6年間も極端に長い投与で、続けるとしてもせいぜい2年程度ではないかと思います。 このサイト内の『読む抗癌剤 拡張版』の第48話は、補助抗癌剤治療に私が思い悩んだある乳癌患者の話です。参考になるかもしれません。 私なら、タキソール+パラプラチンのような強い抗癌剤を、薬を変えて、半年程度追加することを考えるかもしれません。 卵管癌に対する補助療法としての養子免疫療法も、まだ実証されてない実験的治療ですが、副作用がほとんどない点が利点、効く可能性が低い点が欠点と考えられます。自己血リンパ球による免疫療法については、高山教授に御質問されることも、大変参考になるかもしれません。 「死刑囚」は想像に余りある御言葉ですが、再発した人以外は、癌に関してすべて「灰色」です。白に近い灰色から、黒に近い灰色まで様々ですが、およそこの世に、癌に関して「白」と言える人はひとりもいません。その意味において、あるいは人の死因は癌だけではないということも含めて、すべての人は本人が自覚するかどうかは別として、「死刑囚」という運命を背負って生きています。 |