
自分のからだの中に癌ができる。いくら二人に一人が癌になる時代と知っていても、その驚きはきっと筆舌を超えるものです。まだまだ人生でやらなければならないことはたくさんあるし、そんなことより、明日も来週も、いろいろと予定が詰まっている。
病気になった人は、得体のしれない不安を抱えて、まずは病院を訪れることになります。
自分の病気はどんなものなのか、どうすればよいのか、わからないことはたくさんありますが、わからないことだらけで、医者に任せるしかありません。突然「患者」にさせられて、戸惑っている私を察し、医者は一生懸命やってくれそうだけど、とにかく患者は、一つ一つ、医者にすがるしかないのです。
彼らは医者として日々、癌治療を行っています。プロとして信頼はしても、流れ作業的にふりかかる検査の数々、説明、治療の選択は、すぐに患者の理解を超えたものになります。
しかし、医者も人間です。医者も二人に一人が癌になります。
それでは、癌治療のプロである外科医が、最も治療が困難な癌の一つ、膵癌になったら、その外科医はどんな患者となるのか。家族はどのようにふるまうのか。普通の患者と、どこか違うところはあるのでしょうか。
その一つ一つの記録は、多くの患者、患者家族、そして医療従事者にきっと役に立つはずです。膵癌になるそのときから、患者にさせられてしまった外科医、そしてその患者家族となる息子の、これも外科医の一家に起きた出来事を、時計を 2010年 6月に戻して、語っていただきましょう。
まずはお二人はどのような外科医なのか、息子の土井康郎先生から、紹介していただきましょう。
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